今日はお前に別れを伝えに来た。水の名を持つひとの子よ。
あの日私がお前を助けたことをお前は覚えているのかいないのか。
兎も角あの頃からお前は私をひとの間の伝承の中に知り私を追い求め始めた。
私は逃げた。私はひとに捕まる訳にはいかなかった。私はひとを認めねばならなかった。
10年間。ひとにとって短くない時間お前はお前の全てを私に捧げ私を求めた。
それが私には心地良かったと言っても嘘ではないのだ。
私を求め続けるお前の心は盲目で愚直でうつくしい。それを受け入れることは何の造作もないことだ。
だが。だが。ひとの子よ。お前を認めることは出来ない。
お前は私の主には成り得ない。私が主と認めるのはお前も会ったあの少年だ。
あの少年こそが私の主たり得る者だ。
許せ。優し過ぎるひとの子よ。ミナキよ。
私はお前と共に往かない。
私はあの少年の下へ赴く。
今日はお前に別れを伝えに来た。然らばだ。

水の獣はそしてこちらをはっきり向いた。

修験の者よ。お前の視た事をこれに教えるも教えぬもお前の自由だ。私は暇を告げに来ただけなのだから。
只お前たちの想いは私にもあの御方にも力となった。それだけはお前に伝えておこう。









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『我〜』のスイクンの心境。を、視てしまったマツバ。
あの御方=ホウオウです。
あれだけ心を注いだのなら少しは報われていて欲しいなあと思ったので。



2010/9/23



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