「さっき、矢に打たれた天馬騎士が落ちてきて、肝を冷やした。」 まだ、血生臭さが拭いきれない状況で、この男は何を言うのか。否、血生臭さ故、なのだろうか。 どのみち、そんな話は聞きたくない。ヴァネッサはその場から去りたくなる。 しかし、足は動かなかった。 「君じゃなくて安心したけど。」 フォルデは何時もの笑顔を貼り付けた。 しかし、彼の呼吸がほんの少しだけ震えた事に、ヴァネッサは気付いてしまった。 喉がひり付いて声が出ない。目を合わす事が出来ない。 「もし、君が落ちてきたら、俺が抱き止めてあげるよ。」 何時もの彼の、茶化すような台詞が聞こえる。 やっとの事で声を出した。 「それはどうも。」 何時も通りのやり取りの筈なのに、無性に不愉快になった。 ヴァネッサはフォルデを見遣る。 彼は笑っていた。何時も通りなのに、何時もとは違っている。 「だから、命くらいは、離すなよ。」 ********* うっかり不安定フォルデくん。 作成日失念(だいぶ初期) FE二次創作へ戻る |