ブログ時代からのFE小ネタ(というかただの妄想メモ)



*ブラッドレイン(フォルヴァネ)

唐突に、手の甲に液体ががぽたりと落ちた。
それが血であると一瞬後に理解し、思わず空を見上げる。
見知った白馬と、知らぬもう一頭が舞っていた。

落ちた血が彼女のものであるか、それが分かる程までには、彼は彼女のことを知ってはいなかった。
ただ、彼女が無事であれとだけ祈った。



*馬上にて(フォルヴァネ)

「思ったのだけれど、」
愛馬の世話を終えたヴァネッサがぽつりと言った。
「何故、貴方たち地上の騎士は皆、白い馬には乗らないのかしら。」
フォルデはさらりと応えた。
「だって、白いと血が目立つじゃないか。」

ヴァネッサは怪訝な眼をフォルデに向ける。
「それなら、私たちの馬が白いのは?」
「さあ、天馬のことはさっぱり。だけど、」

彼女は、次に何を言われるのか、半ば分かっていてそんな表情をしつつも、それでも問うのだ。
だから、からかうのを止められない。
フォルデは一層笑んで、応える。

「ただ、綺麗だからじゃないか?」



*爪先から指先から(フォル→ヴァネ)

彼女の全ては彼に注がれ、髪の毛一筋でさえ此方にはなびかない。



*手向け髪(ヒニ←ヴァネのような)

かたく、美しくもない私の髪だって、断てば意味を得ましょう。



*ビーマイラブ、ビーマイン(バレンタイン風フォルヴァネ)

遠くに彼を見据え、砂糖菓子を抱えて立ち尽くす彼女に、後ろから覆いかぶさって手中の物を掬い取って喰ってしまう俺は、決まって痛い思いをする。



*フロムユーフロムミー(バレンタイン風フォルヴァネ)

甘いものは嫌いです。ぐずぐずに融けてしまうから。頑張らなくてはいけないのに。

そう、俺はどっちでも良いけど。でもきみのことは好きだよ。

嫌いです。甘いものは嫌いなんです。



*機織り鶴(フォルヴァネ@いつか改稿したい)

わざと、彼女が気付くような方法をとった。
人間が倒れ伏した音に、ヴァネッサは初めて気が付いたようにこちらを見る。
目が合った瞬間、へたりと笑ってやった。
聡い彼女は瞬時に自分が護られたことを理解した様で、途端におかしな顔をした。

苛々した空気がこちらにも伝わってくる。
それでもフォルデは相変わらず笑みを絶やさない。
「君は王子を護ることしか考えてなくて、そんな君を護ってる俺って報われなさ過ぎじゃない?」

護られた、という事実がヴァネッサを苛立たせた。
憤りに任せて叫ぶように答える。
「じゃあ護らなければ良いじゃないですか。誰も、護ってくれだなんて、言ってない」

その一言で、何時もへらへらと笑ってばかりだと思っていたフォルデの表情が一変した。
思わず口を噤んで一瞬後、ヴァネッサは自分が口にした言葉の意味を理解して、青褪めた。
「ふうん、そう、そういう言い方をするんだ」
何時もからは考えられない彼の様子にヴァネッサは戸惑い、後悔した。
「ああ、違うの、御免なさい、違うのよ」

ヴァネッサは俯いた。手を固く握る。
(私は莫迦だ)
自分が王子に抱いているものと同じ感情で以って、彼は自分を護ったのだ。
それを自分は仇で返した。自分の弱さを否定するために。

「ごめんなさい」

抑えきれずに涙が零れる。泣けるような立場でないことは分かっていた。


フォルデは、握り締められて真っ白になっているヴァネッサの両手を見た。
久しぶりに血が上った頭は既に冷え、代わりに罪悪感がふつふつと湧く。

「・・・ごめん。俺も、意地が悪かった。君は真面目だから、護られるとか、そういうのが嫌なのは知ってるよ。始めは、君が無事ならそれだけで良いとも思ったんだけど、」
ヴァネッサの両手を解く。
「俺は君のことが好きなんだ。見返りだって欲しいんだ。」

彼女は、王子の無事のみを願って空を駆ける。
しかし自分は、彼女に感謝も依存もされたいのだ。
フォルデは自己嫌悪に顔をしかめる。

「俺は、君に死なれたら困るんだ。だから、これからも君を護るよ。」
ヴァネッサが漸く顔を上げた。
「君が弱いからじゃない。俺が、護りたいだけなんだ。だから、護るよ。良いかい?」

ヴァネッサは、首を振ることすら出来なかった。



*光合成(シレーネから見たフォルヴァネ)

太陽のような彼の髪に、妹の若草色の髪はよく映えるのだ。



*テリングアバウトマイシスター(シレーネとフォルデ、フォルヴァネ)

「これだけは、言っておくわ。」

何時も穏やかに笑んでいる顔が何時もと変わらず美しい、しかし真剣な表情で真直ぐこちらを見つめている。

「あの子の、身体と気持ちは、努力次第でいつかきっと貴方の物になる。」
シレーネがほんの少し笑顔をかたどる。

「でも、あの子の心と命だけは、貴方がどんなに頑張っても、王子の物なのよ。」

別段、悲しいわけでもない。
だからこちらは何時も通りの笑顔で答えた。

「まぁ、最初から分かっては居ましたけどね。」



*ホーム、スイートホーム(シレーネとフォルデ、フォルヴァネ)

「じゃあ報酬は妹の取って置きの昔話、ってどうかしら?」

珍しく、フォルデが言葉に詰まった。
「・・・俺、初めて女の人が怖いと思いましたよ。」

うふふ、とシレーネは綺麗に笑う。

「駄目よ。そんなことじゃ、あの子は落とせないわよ。」



*弓矢と私(ヒニ←ヴァネ)

空を駆ける私は、何時だって貴方に射抜かれる。



*飛ぶ鳥落とす(フォルヴァネで、エフラムとフォルデ)

「お前、さっきから弓兵ばかり攻撃していないか?」
つい先程、敵のスナイパーを倒したばかりのフォルデに、エフラムが問うた。

「あー・・・、すみません、遣り過ぎですかね。」
謝罪は口先だけ、悪びれた様子も見せない。
相変わらずの態度にエフラムは苦笑する。
「いや、弓使いは厄介だから構わんが・・・。」

何かあったのか?と、然して深刻ではないように聞かれるものだから何となく、
「いやぁ、まあ、ね。」
と、誤魔化した。


だって、好きな娘を先に射止められるなんて、面白くないじゃないですか。









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